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奈良 禎太*; 加藤 昌治*; 佐藤 努*; 河野 勝宣*; 佐藤 稔紀
Journal of MMIJ, 138(4), p.44 - 50, 2022/04
放射性廃棄物地層処分や化石燃料の採掘、二酸化炭素地中貯留等の工学プロジェクトを考える上で、岩盤内の流体の流れを理解することは重要である。き裂や空隙のネットワークは流路となるため、岩盤内の流体の流れにおいて主要な役割を果たす。本研究では、巨視き裂が自然環境下で含まれている花崗岩を試料として用いて、粘土を含む水が流れる条件下で透水試験を行うことによって透水係数の変化を調べた。その結果、粘土粒子が巨視き裂内で集積してき裂を閉塞させることによって、巨視き裂を含む花崗岩の透水係数が低下した。
窪田 健二*; 青柳 和平; 杉田 裕
Proceedings of 2019 Rock Dynamics Summit in Okinawa (USB Flash Drive), p.729 - 733, 2019/05
高レベル放射性廃棄物の地層処分場の建設時には、坑道周辺に掘削影響領域が形成される。この領域の存在により、岩盤内の核種の移行挙動に影響が生じるため、掘削影響領域の理解は重要である。掘削影響領域の評価のために、本研究では、幌延深地層研究センターの深度140mおよび250m調査坑道において、坑道掘削前、掘削中、および掘削後に原位置試験を実施した。結果として、140m調査坑道では、坑道掘削により生じた割れ目が0.45mの範囲まで発達しており、250m調査坑道では、約1mの範囲まで発達していることが分かった。また、不飽和領域に関しては、140m調査坑道では約1m発達したが、250m調査坑道ではほとんど発達していないことがわかった。
加藤 昌治*; 奈良 禎太*; 福田 大祐*; 河野 勝宣*; 佐藤 稔紀; 佐藤 努*; 高橋 学*
材料, 65(7), p.489 - 495, 2016/07
放射性廃棄物の地層処分において、岩盤の透水性は重要な情報となる。透水試験において温度などの周辺環境の変化が測定結果に及ぼす影響を把握することは重要である。岐阜県産の土岐花崗岩を用いて、温度条件を変化させた透水試験をトランジェントパルス法で実施した。その結果、供試体の上流側と下流側に接続されている貯留槽の圧力差は、配管や継手の容積を含めた貯留槽容積が上流側と下流側で異なることや周囲の温度が変化したときに貯留槽や配管への熱伝達が上流側と下流側で異なることなどに起因して、温度変化が起きたときにそれに敏感に反応して変化していることが観察された。透水試験においては、大きな温度の変動はもちろんのこと、微小な温度変化でさえ、実験データに影響を及ぼすことが確認された。
小橋 昭夫; 尾上 博則; 山本 真哉*; 本多 眞*; 櫻井 英行*; 増本 清*
JAEA-Research 2015-022, 89 Pages, 2016/03
高レベル放射性廃棄物の地層処分事業においては、地表より300m以深の地下深部に数km四方の地下施設が建設される。地層処分の安全性の評価にあたっては、放射性核種の主要な移行媒体となる地下水の流動特性やその不均質性を把握することが重要である。岩盤中には周辺岩盤と比較して数桁に渡り透水性の異なる断層や亀裂といった不連続構造が分布している。それらは空間的な透水不均質性の要因であり、地下水の流動方向や流速に大きな影響を与えている。このような透水不均質を効率的に推定するにあたっては、揚水試験などによる地下水圧変化データを用いた地下水流動の逆解析が有効な手法の1つとして挙げられる。一方で、原位置調査には調査数量や工期といった様々な制約があり、取得される調査データは限られたものとなる。また、調査の量や質に応じて最適な逆解析手法を選定する必要があると考えられる。そこで、本研究では地下水流動評価における逆解析手法の適用方法の検討に資することを目的として、複数の解析手法を用いた数値実験を実施した。さらに、得られた結果に基づき、解析手法の違いが解析結果に及ぼす影響の分析、およびそれぞれの手法の適用性を整理した。比較検討には、変分法による随伴方程式を用いたデータ同化手法であるアジョイント法、および逐次データ同化手法の一種であるアンサンブルカルマンフィルタによる逆解析手法を適用した。
田中 忠夫; 坂本 好文; 山口 徹治; 高澤 真由美; 赤井 政信; 根岸 久美; 飯田 芳久; 中山 真一
JAERI-Conf 2005-007, p.105 - 110, 2005/08
放射性廃棄物処分場で使用されるセメント系材料に起因する高アルカリ性環境により、ベントナイト系緩衝材の主要な成分であるモンモリロナイトは溶解変質する。放射性廃棄物地層処分の長期安全評価において求められるのは、放射性廃棄物処分場で使われるベントナイト-砂混合土圧縮体の透水係数の長期的な変化の予測である。「緩衝材透水係数の長期的な変化」の予測を目的としたベントナイト長期変質の定量化は、圧縮体,粉体ベントナイトなど種々の供試体の使用並びにバッチ実験,カラム実験など種々の手法で蓄積した知見に基づき整合性ある検討が行われるべきである。本報告では、実験システムの違いにより得られる知見の特徴や効果的な利用のあり方を整理するとともに、整合性ある実験研究アプローチを提案した。
高澤 真由美; 根岸 久美; 坂本 好文; 赤井 政信; 山口 徹治; 飯田 芳久; 田中 忠夫; 中山 真一
JAERI-Conf 2005-007, p.236 - 241, 2005/08
処分場構造材であるセメントの溶出に起因するアルカリ性地下水はベントナイト系緩衝材を変質させ、その物理的隔離機能である止水性を長期的に低下させる可能性がある。そこで、高アルカリ水溶液によるベントナイトの変質を定量化し、止水性の変化を把握することを目的に、変質試験,アルカリ拡散試験,透水係数測定・調査を実施した。また、セメントの二次鉱物生成モデルとセメント内の空隙モデルを明らかにする実験を始めた。これらの試験・検討から得られる知見を結びつけて、ベントナイト系緩衝材の透水性について長期的な予測解析を行う。これらの、ベントナイト系緩衝材における地球化学的反応とベントナイト系緩衝材が変質することによる物理的パラメータの変化を考慮した物質移行を連成させた解析コードを整備した。
高澤 真由美; 山口 徹治; 坂本 好文; 赤井 政信; 田中 忠夫; 中山 真一
NUMO-TR-04-05, p.A3_59 - A3_62, 2004/10
処分場構造材であるセメントの溶出に起因するアルカリ性地下水はベントナイト系緩衝材を変質させ、その物理的隔離機能である止水性を長期的に低下させる可能性がある。そこで、高アルカリ水溶液によるベントナイトの変質を定量化し、止水性の変化を把握することを目的に、変質試験,アルカリ拡散試験,透水係数測定・調査を実施している。これらの試験・検討から得られる知見を結びつけて、ベントナイト系緩衝材の透水性について長期的な予測解析を行う。これらの、ベントナイト系緩衝材における地球化学的反応とベントナイト系緩衝材が変質することによる物理的パラメータの変化を考慮した物質移行を連成させた解析コードを整備した。そして、アルカリ拡散試験を模擬した解析を行った結果、試験結果をおおむね再現できた。
萩原 茂*; 坂本 義昭*; 武部 愼一; 中山 真一
JAERI-Data/Code 2004-003, 159 Pages, 2004/03
RI・研究所等廃棄物の処分場は、放射能濃度に応じて地表付近から地下利用に対して十分余裕を持った深度及び地下深部に設置される。処分場を建設する際には、対象となる地盤の物性やその場の応力状態に応じて、レイアウトや施工方法の最適化が図られるが、地下環境では地下水が存在するため、地下水中に放射性核種が漏洩する地下水シナリオが想定されている。このシナリオに沿って長期的な地下水の動きを見積もるための指標として動水勾配や透水係数が重要であるが、土木分野では一般に透水係数が用いられる。地中埋設処分ではこれまでに東濃・釜石鉱山において取得したデータを含む地下1,000m程度までの岩石の透水係数データ約1,500件が示されているが、地下浅所のデータが十分でなかったため、本報では、公開文献等から収集した深度250m程度以浅の地盤の透水係数4,474件をわが国の地質時代区分,地質構造区分に基づいて、結晶質岩,堆積岩,第四紀層を含む5グループ26種の詳細な岩種に区分し、整理した。
白川 敏彦*; 畑中 耕一郎
JNC TN8400 2001-027, 131 Pages, 2001/11
不均質多孔質岩盤中の水理/核種移行解析における入出力データ、実行手順を基本マニュアルとして取りまとめることを目的として、既存の不均質透水係数場作成コードの理論的背景と3次元水理解析コード、核種移行経路抽出コード、1次元核種移行計算コードからなる水理/核種移行解析プログラムの使用方法について調査した。本報告書では、調査結果に基づいて不均質透水係数場の作成に関する地質統計学的背景を説明した。さらに、不均質透水係数場作成プログラムおよび水理/核種移行解析プログラムのファイル構成、入出力データ、実行方法、実際の計算例を記載した。以上のように既存の不均質透水係数場作成コードおよび水理/核種移行解析プログラムの理論的背景と使用方法についてまとめることにより、上記の計算プログラムによる解析方法を手順化することができた。また、本報告書でまとめられた情報を活用することにより、自由に不均質多孔質岩盤をモデル化して水理/核種移行解析をすることが可能になった。
鐵 桂一*; 澤田 淳
JNC TN8430 2001-006, 65 Pages, 2001/10
NETBLOCKではこれまで、亀裂交差部の透水性を把握するための試験を行ってきた。しかし、試験で使用した岩体は透水性が高いため、制御可能な試験条件下で亀裂内の流れが乱流となる可能性が指摘されている。亀裂内の流れが乱流である場合、亀裂開口幅、透水量係数を過小評価してしまうため、層流状態を達成する必要がある。本試験では、水よりも粘性の高い流体(高粘性流体)を用い、これまで使用してきたT字に交差した天然亀裂を持つ花崗岩を用いた。また高粘性流体は、メチルセルロース系の水溶液を使用した。高粘性流体を用いることにより、マノメータを広い範囲で使用でき、測定の精度を上げることができた。また、0.1wt%以上の高粘性流体を用いることで、岩体亀裂内の流れが層流になる結果が得られた。
山田 直之*; 鎧 桂一*; 澤田 淳
JNC TN8430 2001-003, 64 Pages, 2001/03
NETBLOCK試験装置ではこれまでに、アクリル試験体および模擬岩体を用いた試験を通じて、透水試験を行う上での装置の取扱方法、試験条件等の検討を行ってきた。また、交差亀裂を有する実岩体(花崗岩:釜石鉱山より採取)をNETBLOCKで試験可能なサイズに成型を行ってきた。今回は、亀裂交差部が透水性に与える影響を調べることを目的として、実岩体を用いた透水試験を行った。対象となる亀裂の透水性が高いために、計測システムの改良を行い、数cm程度の水頭差で透水試験を行った。その結果、亀裂の透水量係数が10-410-5(m2/s)のオーダーであることが分かった。また、注水時の亀裂内の水頭分布から、下部亀裂のNW方向に透水性の低い箇所があることが推定できた。亀裂の透水性が高く、試験時の透水量が多くなることから、試験条件が乱流である可能性が考えられる。乱流が生じている場合、透水性を低く評価することになるので、流体の粘性を高くして層流条件で試験を実施し、透水性の正しい評価を行う必要があると考えられる。
佐藤 治夫
JNC TN8410 2001-003, 40 Pages, 2001/01
岩石などの単一層拡散媒体に対する透過拡散実験のシミュレーション及び解析のためのプログラム(TDROCK1.FOR)を開発した。プログラムは、科学技術計算に適しているPro-Fortranにより作成し、解析法として比較的簡単な陽解差分法を用いた。解析では、これまでに取扱うことができなかったトレーサセル中の溶質濃度の時間変化を入力条件とすることができ、トレーサセルから測定セル側への溶質の拡散に伴うトレーサセル中での時間に対する濃度の減少、媒体空隙水中の濃度分布及び測定セル中の溶質濃度の経時変化などを計算することができる。また、入力条件として、両セル中の溶液体積や試料の直径及び厚さをパラメータとすることもできる。本プログラムは、既に拡散係数(見掛けの拡散係数、実効拡散係数)が求められているケースについて測定セル中の溶質濃度の経時変化について検証した結果、実測結果をよく説明することができた。このことから、本解析プログラムが実際の解析やシミュレーションに適用できることが確認された。本報では、透過拡散実験における理論的取扱い、解析のためのモデル、ソースプログラム例及びマニュアルについて説明する。
大和田 仁*; 三原 守弘; 黒木 泰貴*; 有本 邦重*
JNC TN8400 2000-027, 19 Pages, 2000/08
セメント系材料と地下水とが接触することによって発生する高アルカリの浸出液の流れ(高アルカリプルーム)が、高レベル放射性廃棄物及びTRU廃棄物の処分場周辺の環境に及ぼす影響のうち、岩盤への影響を調べるため、変遷初期及び中期のセメント系材料からの浸出液を模擬したアルカリ溶液および低アルカリ性セメントの実浸出液(LW)への花崗岩の80での浸漬試験を行った。浸漬前後の浸漬液の組成及び岩石の鉱物組成を調べたところ、模擬浸出液を用いた試験では、花崗岩に含まれる長石類等からのSi及びAlの溶出とC-S-Hの析出とが確認された。このことによって、高アルカリの浸出液によって、処分場周辺の岩石が影響を受け、核種の移行遅延効果に影響を及ぼす可能性があることが明らかとなった。一方LWを用いた試験では、岩石からの成分の溶出は観られず、液相のSi,AlおよびCaの減少が確認され、C-S-H、C-A-S-H等の2次鉱物として析出したことが示唆された。これらの結果から、高アルカリプルームは岩盤との反応による透水係数の変化や、2次鉱物の析出による分配係数の変化などの処分環境の変化の原因となる可能性があることが分かった。これに対して、LWでは、比較的短期間に花崗岩との平衡に達するので、前述のような処分環境への影響は比較的小さく、またその影響の及ぶ範囲も狭くなることが考えられた。
野邊 潤*; 松本 昌昭*; 長坂 和佳*; 丸山 健太郎*
JNC TJ8400 2000-006, 232 Pages, 2000/05
本研究では、昨年度までに構築した連続体モデルによるニアフィールド多孔質岩盤中の水理/核種移行評価手法を用いて、地下水流動を特徴付けるパラメータを変化させた場合の解析を行うと共に、手法の拡張性を考慮した信頼性評価を行った。具体的には下記の項目を行った。・三次元飽和・不飽和浸透流解析から一次元核種移行解析までの一連の解析手法を用いて、第二次取りまとめに即したパラメータ設定による解析、および入力フラックスの変化に伴う影響評価を行った。・一次元核種移行解析コード「MATRICS」における、逆ラプラス変換手法の違いによる適用性把握を行った。・多要素版MATRICS(以下m-MATRICSとする)を用いて核種移行解析を行い、従来のMATRICSによる解析結果と比較し、不均質場における核種移行計算へのm-MATRICSの適用性の検討を行った。・三次元飽和・不飽和浸透流解析から一次元核種移行解析までの一連の解析手順を統合化した環境の整備を行った。
江崎 哲郎*; 神野 健二*; 三谷 泰浩*; 蒋 宇静*; 内田 雅大; 赤堀 邦晃*
JNC TY8400 2000-004, 94 Pages, 2000/03
放射性廃棄物の地層処分は、地下の構成材料である岩盤の隔離性、密閉性などを積極的に利用するものであり、その設計にあたっては安全性、経済的合理性、環境上の配慮など、従来の地下構造物と比べて格段に厳しい設計条件が要求される。そのため、岩盤においてその特性を支配する不連続面の力学・透水特性およびカップリング特性などを適切に把握する必要がある。本研究では、理想的な条件下で実験を行なうための新しいせん断透水同時試験装置の開発を行った。そして、装置の検証を兼ねて行ったせん断透水同時実験の結果、新装置は、上箱の回転による影響を定量的に評価でき、一方向流による透水試験を実施することができた。さらに、不連続面のせん断透水同時特性は、垂直応力が大きくなると上箱の回転による透水係数が著しいことを明らかにした。また不連続面の間隙幅分布を不連続面凹凸の幾何学特性とGIS(地理情報システム)によるシミュレーションによって特定する方法を提案するとともに、せん断透水同時試験のモデルを構築し、せん断透水同時特性のメカニズムを明らかにすることを目的としてシミュレーションを行った。その結果、GISによるシミュレーションの有効性を示すことができた。
戸井田 克*; 塩釜 幸弘*; 渥美 博行; 升元 一彦*; 安井 信吾*; 阿部 泰典*; 古市 光昭*
JNC TJ7440 2000-006, 137 Pages, 2000/02
東濃地科学センターにおける地層科学研究では,地質環境の調査技術・調査手法を開発することを目的として,広域地下水流動研究,超深地層研究所計画を進めている。これらの計画では,主に地表から地下深部に至る花崗岩中の地下水の動きを対象にしており,そのための大きな課題は,できるだけ少ない調査量で高精度に地質環境を把握するための合理的手法を確立することである。統計解析手法は,地下に埋蔵する資源量の評価など他の分野において用いられてきた数学的な方法である。本業務ではこの手法を試錐データの解析に適用し,その有効性を確認した上で,この手法を取り入れた定量的地質環境モデルの構築を提示するものである。平成11年度には,以下の項目を実施した。1.限られた数量の実測データから得られた地質環境特性の空間的不均一性の情報に付随する不確実性を,定量的に評価する統計解析手法の明確化 2.東濃及び他地域の例における上記手法の試用及び適用性の調査 3.国内外の調査・検討事例の調査及びこれらとの比較による上記手法の合理性の確認 4.上記の統計解析手法を反映した定量的な地質環境モデル構築の要領案の作成
池田 孝夫*; 吉田 英爾*
JNC TJ7400 2000-006, 159 Pages, 2000/02
地層科学研究においては、ボーリングをはじめとする多種多様のデータに基づき地質構造を解析・モデル化し、その結果を3次元的に可視化するとともに、これらの情報に基づき透水係水場を推定して地下水流動解析を行うことが重要である。そこで、これらの評価・検討を支援するシステムとして、各種地質データの解析を支援するLand Mark、地質構造モデルの構築を支援するEarth Vision、透水係水場を推定し地下水流動解析を行うFrac-Affinityから構成される「地質環境データ解析・可視化システム」を平成9年度に開発している。しかし、上記ソフトウエアのうち地下水流動解析を行うFrac-Affinityは、解析対象が飽和解析に限定されていたことから、超深地層研究所の建設に対応してコードを飽和・不飽和解析に拡張することが必要となっていた。そこで本業務では、昨年度の検討を通じてコード拡張の理論的可能性が明らかにされたのを受け、ソルバー等の改良によりFrac-Affinityを飽和不飽和解析に拡張するとともに、超深地層研究所に関連する地下水流動解析の中で実施時期の観点から最も優先順位が高いと考えられる、立坑掘削の影響評価解析に必要なコードの改良を行った。主なコードの改良点は次の通りである。・コードの飽和不飽和解析への拡張・ソルバーの改良による解析可能最大接点数の向上・入出力インターフェースの改良、具体的には主として以下の事項 飽和不飽和解析に対応した入力項目の追加 差分メッシュ(Frac-Affinityネットワーク)や流速ベクトルの可視化 エラー情報の充実・飽和不飽和解析に対応した境界条件(自由浸出、涵養)の追加・立坑掘削を模擬するための内部境界の形状や境界条件の経時変化を取り扱う機能の追加・差分メッシュ(Frac-Affinityネットワーク)構築方法の改良と、部分的に差分メッシュの密度を調整する機能の追加 これに加えて、飽和・不飽和地下水流動解析に対して拡張したFrac-Affinityにより、立坑掘削の影響解析を含む一連の試解析の実施し、Frac-Affinityの飽和・不飽和解析、特に立坑掘削の影響の評価に対する基本的な適用性を確認した。また、「地質環境データ解析・可視化システム」では、Land Mark、Earth VisionならびにFrac-Affnityの有機的な
長谷川 健
JNC TN7400 2000-004, 21 Pages, 1999/12
東濃地科学センターでは、地層処分研究開発の基盤である地層科学研究の一環として、広域地下水流動研究を平成4年度から実施している。広域地下水流動研究は、東濃鉱山を中心とした約10km10kmの地域(図1参照)を対象に、地下水の流れを明らかにするための研究のみならず、地質・地質構造、地下水の地球化学などの分野の研究を包含した総合的な地質環境を把握するための調査研究である。この研究においては、地下深部のデータを直接取得できる試錐孔を用いた調査研究が非常に重要であり、地下深部の地質や地質構造に関する調査研究、地下水の流れに関する調査研究、地下水の水質に関する研究など1本の試錐孔を用いて多角的に実施されている。本報告書は、広域地下水流動研究のため試錐孔として4番目に掘削されたDH-4号孔で行われた試錐掘削ならびに各種調査研究の結果の概要をまとめたものである。DH-4号孔では泉町河合地内に掘削され、掘削深度は約550mである。詳細な位置については、図1を参照されたい。
澤田 淳; 井尻 裕二; 坂本 和彦*; 亘 真吾
JNC TN8400 99-093, 58 Pages, 1999/11
本報告書は、地層処分研究開発の第2次とりまとめ(わが国における高レベル放射性廃棄物の地層処分の技術的信頼性)の天然バリア中核種移行評価に資することを目的に、亀裂特性の不均質性を考慮した核種移行評価手法について検討した結果をとりまとめたものである。解析評価においては、100メートルスケールの亀裂性岩盤を対象に、3次元亀裂ネットワークモデルならびに1次元モデルの重ね合わせ手法を用いた。亀裂ネットワークモデルを用いた核種移行解析の結果、核種移行率はリアライゼーション毎に異なるものの、数10個のリアライゼーションを用いることでその統計的な傾向を捕らえることが可能で、かつその信頼区間を評価することができることがわかった。また、設定した基本ケースのデータ設定の範囲においては、亀裂構造に関わるパラメータ(亀裂密度、半径等)が100mスケールの核種移行遅延効果に与える影響は小さいことがわかった。核種移行遅延効果に対して影響が大きい透水量係数の不均質性に着目した1次元モデルの重ね合わせ手法を用いて解析した結果が亀裂ネットワークモデルを用いた解析結果にほぼ近似できることがわかった。ただし、本手法の適用においては、移行経路特性の核種移行遅延効果に対する影響を把握した上で適用することが肝要と考えられる。さらに、3次元亀裂ネットワークの結果が1次元モデルの重ね合わせにより近似できることから、亀裂ネットワーク構造内における処分坑道から下流側断層に至る大きな亀裂が核種移行評価上重要な役割を果たすことが示された。
井尻 裕二; 澤田 淳; 坂本 和彦*; 亘 真吾; K.E.Web*; 中島 研吾*; 野邊 潤*
JNC TN8400 99-092, 91 Pages, 1999/11
高レベル放射性廃棄物の地層処分における天然バリアの性能評価においては、我が国の岩盤を亀裂中の流れが支配的な亀裂性岩盤と岩石基質内の流れが支配的な多孔質岩盤に分類し、それぞれに対して亀裂ネットワークモデルを用いた核種移行評価手法と不均質連続体モデルを用いた核種移行評価手法を開発した。本書は、後者の多孔質岩盤モデルによる核種移行評価手法とその評価結果について報告するものである。多孔質岩盤モデルに関しては、東濃鉱山の新第三紀堆積岩で測定されたデータに基づいて不均質連続体モデルを構築し、核種移行解析を実施した結果、Se-79やCs-135が支配的な核種となることがわかった。多孔質岩盤モデルに対するパラメータの感度を評価するために1次元均質モデルを用いて感度解析を実施した結果、有効間隙率が解析結果に及ぼす影響は小さいのに対し、透水係数が結果に及ぼす影響は大きいことがわかった。また、岩種では泥質岩・凝灰質岩よりも砂質岩の方が、地下水では降水系地下水よりも海水系地下水の方が分配係数が小さく核種移行率が大きくなることがわかった。さらに、亀裂だけでなく岩石基質中の流れも有意な亀裂性岩盤と多孔質岩盤の特性を併せ持つ一部の新第三紀堆積岩に対して亀裂性岩盤モデルと多孔質岩盤モデルの重ね合わせにより評価を実施した結果、多孔質岩盤モデルよりも亀裂性岩盤モデルの方が保守的に評価されることがわかった。本書で得られた結果は、東濃鉱山の深度数10mから200m以浅のボーリング孔で得られたデータに基づいた結果であるため、実際の処分深度500mでは岩盤の透水性はさらに低くなり、核種移行率もさらに低減されると考えられる。